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人生最高の日は?(映画『追憶』の思い出)

「今まで生きてきた中で、一番幸せです」
かつて、オリンピックの水泳競技で優勝した金メダリストがインタビューで答えた言葉です。
この選手は、当時14才の女の子でした。
まだ14年しか生きてきていない女の子。
このインタビューを聞いた人はみんな、自分自身にとっての「今まで生きてきて一番幸せな日」のことをあわてて確認したのではと思います。
生涯最高の日、最高の瞬間はいつだったのか?

先日、BSで放映された映画 『追憶』 (1974年:シドニー・ポラック監督)を久しぶりに観ました。
小説家志願のロバート・レッドフォードと社会運動に献身するバーブラ・ストライサンド。
この二人の10年に及ぶ恋の歳月を描いた物語です。



ラスト近く、湖上でヨットに寝そべるレッドフォードに友人が「生涯最高の日」を尋ねるシーンがあります。
大学でボート競技に熱中していたレッドフォードは即座に答えます。

「1937年!あのボートレースで優勝した日だ!」

誰にとっても、何か栄冠を勝ち取った日は、「生涯最高」にふさわしいもののようです。
重ねて「じゃあ、最高の年は?」と問う友人。
レッドフォードは、すこし考えます。
すこし考え、すこしためらいながら答えます。

「最高の年か・・・1944年だ。・・・いや45年だ。・・・46年かな・・」

バーブラと過ごした日々が瞬時に浮かんでは消えていったんでしょうね。
とても印象に残る、なんともいえず好きなシーンです。
有名な主題曲がこのシーンにかぶさると、気持ちが揺さぶられつつも「しん」と静まってしまうような気がします。

この映画をはじめて観たのは、10代最後の年。
名画座で「2本立て上映」されるたび、立て続けに観に行った記憶があります。
なぜそれほど熱中したのか。
じつは当時好きだった女の子が大のレッドフォード贔屓。
ぼくとしては「敵を知る」という意味もありました。
ロバート・レッドフォードを「仮想敵」とするとは、「なんとおそれ多い」という意見があるかもしれません。
でも、結論から言えば、「国籍」と「外見」以外、彼我の間にさしたる相違はありません。
なにをおそれることがあるでしょうか。
19才というのはそういうものです。

ただ、当時から、よくわからなかったことがあります。
この二人は、何で別れなければならないのか?
こんなに愛し合っているのに、何で一緒に暮らすことができないのか?

理由らしきものは、いくつも映画の中で描かれます。
政治的な主張を曲げず、一途でかたくなで融通の利かない、いまで言えば「空気を読む」ことを知らないバーブラ。
二人は最後にこんな会話を交わします。

「政治より何より大切なのは人間だ。君とぼくだ。主義じゃない」
「人間は主義に生きるのよ、ハベル」


これは、どこまで行ってもかみ合わないな、と思います。
「かみ合わない」ということはよくわかる。
でもそれだけが「わかれる」ことの理由なのかどうか。
今回、あらためて観ても、やっぱりよくわかりませんでした。
19才の頃と比べ、こういったことについての理解力がほとんど進歩していない。
そのことを実感します。

この映画、原題は『The Way We Were』
「過ぎ去りし日々」とか「あなたと私が生きてきた道」というような意味でしょうか。
ぴったりとした日本語をみつけにくいところがありますね。
そう考えると、『追憶』というタイトルは、とてもよく考えられた「名邦題」と言えます。
人生がどうしようもなく不可逆的であること、そのことの儚さが、「追憶」という二文字の漢字に込められているような気にさせられます。

過去にさかのぼった直線上のどこかにある、生涯の「最良の日」や「最良の年」。
たしかに「存在」したはずなのに、いまではすべてがかげろうのように揺らいで見えてしまう。
そして、おぼろになればなるほど、いっそう愛しく思えてしまう。
「追憶」とは、そういうものなんでしょうね。

自分にとっての「人生最高の日、最高の年」はいつなのか。
ときには考えてみてもいいなと思います。
「過去にさかのぼった直線上のどこか」と決めつける必要もありません。
ひょっとしたら、「明日」がその日かもしれないし、「今年」がその年かもしれない。
日々、上書き更新していくことのほうが大切な気がします。

14才で人生でいちばん幸せなときを迎えたあの金メダリストの女性は、もしいま「最良の日」を聞かれたらなんと答えるんでしょう。
かつての栄冠に勝る出来事が、その「追憶」を上書き更新することはあったでしょうか。
できれば「そうであってほしい」と思ってしまいます。
なぜなんでしょうね。


それでは。


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筍の生命力(向島百花園の春)

墨田区の向島百花園に行って来ました。

向島百花園

前回、ここを訪れたのは秋。
萩の季節でした(向島百花園:秋)。

この日、園内にはまだ桜の花も残っています。
折からの南風にその花びらを散らす光景も見られました。

これは、著我(しゃが)の花
気品ある模様が目をひきつけます。
(↓)
著我の花

こちらは花ニラです。
(↓)
にらの花

いかにも可憐な風情なんだけど、あたり一面に群れ咲いている様子には、野趣も満ち満ちています。

そしてこの花は貝母(ばいも)。
ひとつひとつの花がみんな、羞じらうようにうつむいています。
清楚でさびしげなたたずまいの花ですね。
(↓)
貝母の花

孟宗竹の植えてある一画には、筍が顔を出していました。
(↓)
筍2

木洩れ日を浴びて、ほかほかとあたたかそう。
思わず掘り出してしまいたくなります。

掘り出すことができないほど、堂々と成長した筍がこちら。
(↓)
筍1

孟宗竹は、一日に50センチから100センチも伸びることがあるそうです。
すごい生命力ですね。
眺めているその間にも、数センチほど成長したかもしれません。

まったく、ぼくの収入もこのぐらいの勢いで増えてくれるといいんだけど……
などというのはただの妄想竹。
しゃれにもなりません。

地に足をつけて働くことを考えた方がいいですね。
貝母(ばいも)の花のように、足もとをしっかり見つめて、多くを望まず慎ましく……
でもやっぱり筍の生命力にも、すこしぐらいはあやかりたいなと思いました。


それでは。



右か東か、左か西か(『舟を編む』を読んで思ったこと)

池袋駅はどうも苦手です。
東口と西口、北口と南口がどういう位置関係にあるのか、すぐに見失ってしまうから。
いったい、どっちが東でどっちが西なのか。
考えてみると、そもそも「東西南北」を識別するコンパスを体内に持っていないことに気づきます。
春になると間違えずに「北」へ帰る白鳥やツルや鴨のほうが、はるかに利口です。

「右」と「左」を区別する際にも、瞬間的に混乱することがあります。
普通は、こどもの頃に、お箸を持つ方が右、お茶碗が左、と教わりますね。
鉛筆を持つほうが「右」である、とも。
ところがぼくは、左利き。
お箸は右で持つようになったけど、字を書くときには左手に鉛筆を持ちます。
そのせいで、脳内を走る回路が混線しているのかもしれません。

人間ドックでバリウムを飲んで胃の透視検査をするときは緊張します。
「はい、そこで右に回って」とか「左の腰をすこしあげましょう」とか、ガラス越し、ひっきりなしに「右」「左」を指図されます。
懸命になってからだをぐるぐるさせているうちに、やがて頭は真っ白に。
そこへ容赦なくレントゲン技師の叱声が飛んでくる。
「右じゃなくて、左です、左!」
このストレスで、映像に変な影が映ってしまうのではと心配になるぐらいです。

『舟を編む』 (三浦しをん:光文社)という小説を読みました。
「辞書を作ること」に情熱を傾ける人たち、というテーマが魅力的です。



では、辞書で「右」という言葉はどう説明するか。
この本の主人公は、こんな定義をします。

「右」とは、体を北に向けたとき、東にあたるほう。

なるほど。
こういう説明の仕方をするとは知りませんでした。
調べてみると、実際、こういう記述がされている辞書があります(『学研:現代標準国語辞典』)。
また、「東を向いたとき、南にあたるほう」という説明をしている辞書もあります(『旺文社:標準国語辞典』)。
いずれにしても、「北」や「東」、「南」がわからなければ、「右」はわからない。
世の中はそういうことになっていたんですね。
「東西南北」「右」「左」を廻る自分自身の「とまどい」は、ここに淵源があった。
わかったような気もするし、わかりたくないような気もします。

ちなみに、 『新明解国語辞典:第4版』 (三省堂)で「右」の項目を調べてみると……

アナログ式時計の文字盤に向かったときに、一時から五時までの表示の有る側。

これなら「北」と「東」がわからなくても、「右」と「左」はわかります。
ぼくのような「混乱」を抱える人間にとっては、福音ともいうべき、こころ優しい説明です。
ただ、「アナログ式時計」はつねに肌身離さず、持ち歩かなければいけない。
でも、レントゲンで胃を検査する透視台に横たわるときには、取り上げられてしまうんでしょうね。

普通に生活しようと思うだけなのに、いろいろ面倒が多いことです。

それでは。

プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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