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梅雨明け前の虹を見る

週末の夕方6時半過ぎ、暮れかかった駅前の空に虹がかかっていました。

虹

虹はいつ見上げても風流なもの。
その風流な虹に後ろ髪をひかれながら向かったのは、風流とはまったく無縁のメンバーが待つ飲み会です。
どういう飲み会かといえば、暑気払いで集った、高校の同期会。
梅雨明け目前のこの日がその当日だったのでした。

それにしても、ひとりひとりどの顔を見回しても、人生に「梅雨時」などというものがあったとは思えません。
世間の荒波など「ものともしない」たくましさに満ちています。
見習わないといけないと思っても、時、既に遅し。
せっかく同じ船に乗り合わせて生きてきたというのに惜しいことをしたものです。

船といえば、角田光代の新作のタイトルが『笹の舟で海を渡る』 (毎日新聞社)でした。



戦争末期、集団疎開先で出会った佐織と風美子。
戦後の昭和史を貫いて生きる2人の女性の、ちょっとほろ苦い不思議な友情が描かれます。

「私は幸せかしら?不幸かしら?ああやっぱり、悪いことをしたら不幸になるのでも、いいことをしたから幸せになるのでもない。そのどちらもが、人生に影響など及ぼさず、ただ在るのだ。ただ在る、でも私たちはそれから逃れられない。」(406頁)

「昭和史の第四コーナーをともに駆け抜けた」ということでいえば、同期会の仲間たちも同じです。
彼らはまさに悪いことをしても不幸になるわけではないことを身をもって証明しています。
人は「慎ましく生きる」などと心がけなくても、じゅうぶんに幸せになれることを教えてくれます。

そんな彼らと、かつては同じ学舎でともに青雲の志を掲げたこともあったのかと思うと懐かしさでいっぱいになります。
仰ぎ見た虹はしだいにおぼろになってしまっても、それぞれの虹をそれぞれが追いかけ、両の手のひらにつかもうとして生きてきた記憶の航跡は消えません。

一昨日、関東甲信越の梅雨も明けたそうです。


それでは。



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一瞬が永遠に続くこと(映画『海街diary』)

肩の凝らない映画を観るときは、「起承転結」の流れを意識してしまいます。オープニングから30分もすると「起」から「承」に移ったな、と思い、1時間が過ぎればそろそろ「転」が始まる頃だ、と思ったりします。ストーリー展開のリズムに呼吸を合わせて観ている、とも言えるけれど、一方では、決められた「型枠」にただ運ばれているだけのような物足りなさも感じます。

映画『海街diary』観ました。
ドラマとして、あるいは「起承転結」があったのかもしれません。でもほとんどその区切りが気にならない、それなのに、観終わってとても気持ちのいい映画でした。

ストーリーは、ある事情で三姉妹が四姉妹になる、要約してしまえばただそれだけのこと。
上映中、不思議とこの四姉妹に「何かが起こること」ではなく、「このまま何も起こらないこと」を願ってしまっていました。どこまでも「起承」が続き、「転結」になんて至らないことを。

とはいえ、実人生を生きる上では、なかなかそういうわけにもいきません。
ことさらな事件に遭わない一生でも、「愛別離苦」という「転」は否応なく訪れます。「生老病死」という「結」もある。
四姉妹の周辺にも、そういう人生模様を背負った人たちがちりばめられています。
長女の恋人は心を病んだ妻との離婚に悩む医者であり、次女の上司は大手銀行から信金に転職した経歴を持ち、三女の勤務先の店長は冬山登山への夢を絶たれた男です。
それぞれ「過去」に陰翳があるようなのに、そういうドラマはすべて「遠景」として配されているだけ。

「前景」として物語の中心となるのは、長女と四女の「心のゆらぎ」です。
心の中で波がゆらいで、ゆれてこぼれてあふれそうにもなります。
でも砂浜に人が残す足跡は、それがどんなにもつれたものであっても、やがて打ち寄せる波が消してしまう。そのとき海の向こうに見えるのは、見渡す限りどこまでも穏やかな水平線だけです。

姉妹が庭で手花火に興ずるシーンがあります。
日常を切り取る、なんでもない場面です。
なのに観ていて胸が熱くなってしまう。
なぜなんでしょうね。
ひょっとしたら、「起」であり同時に「結」であるこの一瞬が永遠に続くことを祈ってしまうせいかもしれません。
ちょうど「メビウスの輪」の繋がりに終わりが訪れないのと同じように。

それでは。



プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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