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歌舞伎座五月興行のこと

新しい歌舞伎座に行ってきました。
柿葺落(こけらおとし)の五月興行です。

13-05-11_001.jpg

あいにくの雨降りだったけど、開場前から辺り一帯、熱気が充満しています。
地下のおみやげ物売り場も人でいっぱいでした。
ちなみに、そこで買った幕の内弁当です。

13-05-11_007.jpg

画像で見る印象よりもずっと美味しかったです(^_^)
幕間が30分と短めなので、ゆっくり食べている時間がなかったのが残念ではありました。

さて、最初の演目は、『梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)』です。
主役の「梶原景時」を演じるのは、中村吉右衛門。
物語の終盤まで、動きも少なく寡黙な役柄なのに、舞台中央にどっしりと構え、存在感を放ちます。

最後に用意された、「名刀で石をまっぷたつにしてしまう」という見せ場。
どうして石なんかをわざわざ切ってみせるのか。
それについては、いろいろないきさつが絡み合っています。
ひとことで言えば「諸般の事情」ということ。
ともかく、ものの見事に手水場の石を一刀両断。
終始、楽しげに演じる吉右衛門が印象的でした。

もうひとつの演目は、『京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)』。
「娘道成寺」といえば、安珍というお坊さんが、ストーカーと化した清姫に、最後は鐘ごと焼き殺されてしまう、というお話。
今回は、その変形バージョン、という感じでしょうか。

娘二人がどういう舞いを見せるのかなと思っていると、最初に登場する白拍子が菊之助。
そのあでやかな衣装に、場内からはため息がもれます。
そのまま花道にからだを寄せると、花道上の「すっぽん」から、もうひとりの白拍子(玉三郎)がせり上がってきます。

「すっぽん」というのは、舞台下の「奈落」から役者が登場してくるための、迫(せり)のこと。
ここから出てくるのは、幽霊や化身など、人間外のもの、という約束事があります。
そのせいか、玉三郎が現れて菊之助の白拍子と二人並んだ瞬間、なんだかぞくりとするものを感じてしまいました。

これは、ドッペルゲンガー(分身)ではないだろうか。
ふとそんな想いがよぎります。
奇怪な分身にまとわりつかれることで、自分が自分であることを確認できなくなるドッペルゲンガーという現象。
その自己分裂の幻想性を描く物語は、19世紀、浪漫主義の時代以降、たくさん書かれています。
ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』もそのひとつですね。

ドリアンが放蕩を重ねる。
すると、彼の肖像も醜く変わっていく。
ついには短剣で肖像画を引き裂き、同時に自分も胸から血を流して死んでゆく。

二人並んだ玉三郎と菊之助からも、一瞬、そんな妖しい雰囲気が漂います。
聖性と蛇性が交錯して奏でる妖しい旋律。
でも、不吉さを背後に封じ込めながら、舞台上の二人の白拍子は、あくまでも美しく舞い続けます。
目の前で繰り広げられるのは、おどろおどろしいものとは正反対の、あくまでも艶なる世界なのでした。

そして鐘の上に姿を現す二人の白拍子。
この二人が、じつはあの清姫の亡霊だったことがわかります。
いまや蛇性を顕わにした彼女たちが、鐘の上から手招きをしているようにも見えてしまい、最後にまたまたぞくりとしてしまったのでした。


それでは。

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プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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