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明日香路をサイクリング

夜11時の新宿西口ヨドバシカメラ前。
眠い目をこすりつつ、高速バス乗り場の待合室に座っていました。
旅の目的地は、奈良・明日香路です。

バスに乗り込むと、窓はすべてカーテンで覆われ、外はまったく見えません。
あっという間にぐっすりと寝付いてしまいました。
寝付きがいいのは、自慢できる、数少ないことのひとつです。
目が覚めると、バスはもう奈良県内に。
かつて、トンネルを抜けると雪国だったと書いた川端康成。
彼だったら、「夜の底が奈良になっていた」と驚いたかもしれません。

近鉄奈良駅に到着したのが、朝の6時半。
早朝の奈良駅周辺は森閑として、行き交う人影もほとんどありません。
野良猫もいないし、奈良公園を根城とする鹿も見あたらない。
『バイオハザード』の一シーンみたいです。

凝りに凝った首と肩をほぐしてから近鉄線に乗って、橿原神宮前に移動しました。
9時営業開始の駅前レンタサイクル店で自転車を借り、さっそく明日香めぐりに出発です。

この地をサイクリングで回るのは、学生時代以来のこと。
5月の若葉風が肌に心地よい朝です。

最初にたどり着いたのは、欽明天皇陵近くに置かれた、「猿石」でした。

猿石

猿といえば猿のようにも見え、人といえば人のようにも見えます。
伎楽(ぎがく)の面を表現したもの、とも言われていたと思うけど、ほんとうのところはどうなんでしょう。
居合わせた土地の「古老」と言葉を交わしました。
いわく、「このあたりを掘り返せば、こんな石はごろごろ出てくる」のだそうです。
実際に明日香のこの地に立ってお聞きすれば、説得力豊かに感じる言葉ではありました。

10分ほど自転車を漕ぐと、ソフトクリームの旗を立てたお店が見えてきます。
近くで取れたいろんな野菜も商っています。
そのお店の真横に、「亀石」がうずくまっていました。

亀石

愛嬌たっぷり、思わず和(なご)んでしまう表情をしていますね。
いつごろ誰が、なんのために、ということのよく分からない、謎多き石造物。
でも、この亀石が大地を抱き留めているかぎり、明日の「日の出」を信じてもいいような気がしてきます。

お昼前には、「石舞台」に到着です。
低い丘陵にあるこの古墳、被葬者は、蘇我馬子とも言われています。

石舞台1

そう言われてみると、古墳のかたち全体から、どことなく「馬」という文字が浮かんで見えてこないでしょうか。
(↓)
「見える」と思えばなんでも見えてくるものです。

石舞台2

この古墳は、中に入ることができます。
(↓)

石舞台4

入ってみると、こんな感じでした。
(↓)

石舞台3

内部の花崗岩の表面に、てのひらを当ててみました。
てのひらを当てることで時空間を一気に跳び越えて、飛鳥時代へと移動する・・・・
なかなかそういうわけにもいきませんでした。
ひと眠りしているあいだに新宿西口から近鉄奈良駅まで移動するのとは話が違います。

積み重ねられた岩の隙間から、正午に近い光が箭(や)となって中に射し込んできます。
蘇我馬子の時代から、絶えることなく射し込みつづけてきた光です。
馬子が没してから、約1400年。
1年365日として計算すれば、約51100回、こうやって、光が入りつづけてきました。

日の出と日の入りを繰り返し、人はつぎつぎと入れ替わります。
でも、こういった石造物たちは雨ざらしのまま、いまにいたるまで残ってきました。
きっと、このあと1400年経っても残り続けているんでしょうね。
いま地上に生きている命が、すべていなくなったそのあとも。

茨木のりこさんの詩に、こういう一節があります。

 ・・・・
 かつて幕末に生きし者 誰一人として現存せず
 たったいま産声をあげたる者も
 八十年ののちには引潮のごとくに連れ去られむ
 さればこそ
 今を生きて脈うつ者
 不意にいとおし (以下略)
 

いにしえの昔、遙か古代に夢をはせるということ。
それは、今を生きるすべての命を愛おしむことにも繋がるものなんだなと思います。

そういえば、茨木のりこさんも明日香路をレンタサイクルで回ったことがあるみたいです。
「高松塚」と題された詩に、こんな一節をみつけました。

 ・・・・ 
 千年くらいは ひとねむり
 うつらうつらの 夢また夢
 1980年の青春はレンタサイクル乗りまわし
 はつなつの風に 髪なびかせて行く



いまサイクリングするのなら、日射しがきついから、髪はなびかせず、帽子をかぶったほうがいいでしょうね。
紫外線を避けるためには日焼け止めも要るし・・・
どうも、古代の人たちに感応しようと思うにしては、「雑念」が多すぎるという気もするのでした。


それでは。


  
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No title

こんばんは。

五月の空のもと、奈良をサイクリング、気持ちいいでしょうね!
京都に住んでいた頃、何度か訪ねたことがあります。
京のつくりあげられた都とはまた違う趣き。
いにしえの都がそのまま感じられ、まるで万葉集の世界ですよね。
どこを掘っても遺跡が出てきそうです。

ハイキングをしていた時、少し前方を早足で歩いていた白装束の人が、
ちょっとした拍子に姿が見えなくなり、一瞬、ぞ~っとした経験があります。
でも、奈良だったらこういうことも起きるかな~って変になっとくしました(笑)

 「いにしえの昔、遙か古代に夢をはせるということ。
  それは、今を生きるすべての命を愛おしむことにも繋がるもの
  なんだなと思います。」

本当にそうですね。太古の昔からずっとずっと変わらぬ人々の営みがあって、
そして今の私たちがあるのでしょうね。
石造物が徐々に風化していくのもまた自然の営みでしょうね。

いいな~行きたいな~♪
深夜バスのあとサイクリング。JIROさん、まだまだ体力いっぱいですね!
旅の続き、また書いて下さいね。

Re: No title

こんにちは!

夜行バス明けのサイクリングは、さすがに疲れました(^^;)
でも、来月では暑くなりすぎてしまいそうですよね。
なんとか5月の明日香をめぐって来ることができてよかったです。

> ちょっとした拍子に姿が見えなくなり、一瞬、ぞ~っとした経験があります。

なんだか、『千と千尋の神隠し』みたいなお話だなって思いました。
たしかに明日香では、「いたるところに神さまがいる」という感じがありますね。
仏教が本格的に根付く以前の遺跡が多いせいなんでしょうか。
ちょっとした祠や窪みの闇が異空間につながっている・・・
そんなことも想像してしまいます。

奈良には、修学旅行以来、何度も足を運んでいます。
でも今回はことさら中身の濃い時間を持つことができました。
石造物たちは確かに日々風化をつづけているんだろうと思います。
なのに、学生のころに来て見たときと、少しも変わって見えません。
ぼくのほうはずいぶん変わってしまったのに・・・
まあ、だめな性格はほとんど変わっていないんだけど。

「行きたい」と思ったときにいつでもどこでも行くことができるようになれたら嬉しいですよね。
仕事とか、そういう不粋なことは脇に置いて・・・
と、そうは問屋が下ろしてくれないのが、とっても残念ですe-441

No title

奈良は子どもの頃、遠足で行ったきりです。
近いのに、京都ほどふらっと行けるところではないですね。

明日香路をサイクリングだなんて、気持ちよさそうです。
奈良は観光地としての整備がちゃんとできていないので、このような田舎(失礼!)に、ぽ~んとスゴイ遺跡があったりします。
サイクリングのほうが、周りの景色も見ながら移動できるのでいいかもしれませんね。

行ってみたいです!
JIROさんは、ツアーかなにかで行かれたのですか?

Re: No title

こんにちは、蜩さん!

今回は、直前になるまで時間のやりくりがつかなかったので、旅行代理店は利用しませんでした。
それはそれでまた楽しからずや、という感じです^^

奈良と京都、どちらも「古都」という点では同じなのに、ずいぶん肌合いが違うなあと、ぼくも思います。
近鉄奈良線で移動すれば、30分ほどの距離なんですけどね。
それにしても、そうちょくちょく行くことができるわけではありません。
何日も滞在することもできないし・・・
それだけに、旅先での人や事物との触れあいは、大事にしたいですね。

明日香路は、歩いて回るには広すぎるし、タクシーで回ってしまっては味気なさすぎます。
だから、季節を選んでのサイクリングはおススメです!
背中のリュックサックには、旅行ガイドにお弁当、ペットボトルに植物図鑑・・・
いろいろ詰め込んでいたけれど、ぜんぜん、重たく感じませんでしたe-68
プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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