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ならぬことはならぬもの

「なぜ人を殺してはいけないか」。

こういう問いかけにはどう答えればよいのでしょう。
いちばん手っ取り早い答え方があります。

「ならぬことはならぬもの」。

NHK大河ドラマ『八重の桜』でおなじみの、会津藩の教えですね。

かつて、石川啄木はこんな歌を詠みました。

どんよりと
くもれる空を見てゐしに
人を殺したくなりにけるかな



「なりにけるかな」と言われたって、ならぬことはならぬ、のです。

ただ、この問いかけを突き詰めて行くと、「正当防衛」や「緊急避難」といった法理上の例外や安楽死の問題、また死刑制度の是非、などとも絡んできます。
なかなかやっかいな議論になることもあります。

ところが映画(とくにアメリカ映画)には、こういう議論に蓋をして穴に埋めてしまうジャンルが存在します。
「見つけ次第、問答無用で殺して殺して殺すべし」という原則が支配する世界。
「殺(や)られる前に殺る」というタフな人間だけが生き残れる超ハードな現実。
ゾンビ映画がその典型です。

もっとも、「ゾンビ」とは概ね「リビング・デッド(生きている死体)」のこと、と定義されます。
だとすれば、「殺す」のは「人」ではない、ということになりますね。
刑法上の罪責を考えるとすれば、「死体損壊罪」。
どちらであれ、その違法性が映画の中で問われることはありません。

公開中の映画、 『ワールド・ウォーZ』を観ました。
地球外生命体との、人類の存亡をかけた戦いを描く映画。
……と思っていたら違いました。
要するに「ゾンビ映画」です。
「パンデミック」(致死的な病原体による感染症の世界的大流行)の脅威がブレンドされています。

すこし気になったのは、ここでの「ゾンビ」が、厳密な意味で「リビング・デッド」に当たるのかどうかということ。
でも「ゾンビ映画」に「厳密な意味」を求めることは無意味です。

映画の中では、かつてない、すさまじい数の「ゾンビ」が「殺害」または「損壊」されます。
ただ、ゾンビ映画にはつきものの「すぷらった」な場面は上手に映像上の処理がなされていました。
実際、R指定にもされてはいないようです。
だからといって、ファミリーやカップルにお勧めしたいとは思わないけど。

なぜタイトルが「ワールド・ウォーZ」であるのか。
それは、「ゾンビ」が「人類存続にとって、共通の敵」だから。
最後の一人(一体)まで抹殺しないでは終わることのない戦争における「敵」。
人種や信条や宗教を越えて人類がひとつになるためにはなにが不可欠であるのか。
そのことがとてもわかりやすく描かれた映画でした。

さて、最近の「ゾンビ映画」では、ゾンビの身体能力が著しく向上しています。
この映画でも、その動きの敏捷さには目を瞠るばかり。
今後の更なる進化も予想されます。

たとえば、ゾンビの「イケメン化」。
通常、ゾンビになるや否や、例外なく醜く恐ろしく「誰が見てもゾンビ」という容貌に変化します。
とてもわかりやすいです。
でも、もし、ゾンビ化と同時に、「水もしたたるほどの男前」になったり、「小股の切れ上がったいいおんな」に変身したりするようになったとすれば・・・・

人は「見た目」に左右される、といいます。
「いるか」や「くじら」を死にものぐるいで保護しようとする団体の存在も、見た目の「かわいさ」に影響されていないとは言えません。
とすれば、ゾンビの「イケメン」化は、状況を根底から覆す可能性があります。
自ら望んで「ゾンビ」になりたい、と志願する男女だって現れるでしょう。
人と「ゾンビ」との間にはロマンスさえ芽生えるかもしれません。

この展開であれば、紆余曲折があったとしても、世界はたぶん平和へと向かいます。
映画のラストでは、人とゾンビとが膝を交えて肩寄せ合って、よりよい未来について語り合う。
そんなほのぼのとした明るい場面も目に浮かびます。

・・・でもまあ、こんな映画は誰もつくらないでしょうね。
すくなくともハリウッドは絶対につくりません。
アメリカ映画にも流れ続ける「ならぬことはならぬ」の鉄則。
ゾンビは金輪際、共存しては「ならぬ」存在として、スクリーンの中を彷徨いつづけるのでした。


それでは。


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No title

こんばんは。

最近のゾンビはイケメン化しているのですね。びっくり!
私は怖いものが苦手でホラーなどは全く見ないので、今どきのゾンビなんて考えたこともありませんでした。

ゾンビ映画といえども角度を変えてみると、いろんなことが見えてくるのですね。

No title

こんばんは!

ゾンビ映画みられたんですね。
先ほどラジオの小堺くんの番組でゾンビの話題が出ていて
とても面白かったのですが、JIROさんのブログがまたまたゾンビ!
笑っちゃいました^^
私も一度だけゾンビ映画を見たことがあります。
その頃のゾンビは動きがこっけいで意外に可愛かったです。
今は身体能力も向上してどんどん進化しているんですね~。

アメリカの人はゾンビが大好きだとか。
ゾンビグッズもたくさんあるそうです。
吸血鬼やフランケンシュタインはヨーロッパ生まれだけれど
ゾンビは純粋にアメリカ生まれ。だから大好きなんだろ~って。
アメリカ人らしいですよね。

映画と今のアメリカの動き、なんとなく共通するものを感じますね。

Re: No title

RISAさん、こんにちは!

「ゾンビ・イケメン化」は、まだぼくの脳内にとどまっているだけの構想(妄想)です。
たぶん、まだ実際の映像化は試みられていないはず。
まあ、あまりにばかばかしいので、当分、実現することはなさそう。
ただ、「バンパイア」映画では、すでにその傾向があるんですよ-(『トワイライト』シリーズなど)^^

ホラー系はぼくも苦手です(^^;)
この映画の場合は、ちょっと事前リサーチ不足だったかも。
でも映画としては迫力ある映像で、一気に最後まで観てしまいます。
上映中に「寝てしまう」ことがない点は請け合います。
ただ、「ぜひ一度、観てみてください」と強くお勧めしかねるのが残念なんですけど(-_-;)

Re: No title

こんにちは、くまねこくんさん!

この映画以前に観たゾンビ映画というと、『アイ・アム・レジェンド』でした。
ゾンビが出てくるとは知らないで観に行ってしまい、でもそれなりに面白くて「まあいいか」と思ったものです。

「動きがゆるやかなゾンビ」が主流だった時代は、まだ余裕をもって映画を観ていることができましたね。
この動きなら、全力疾走すれば、絶対に逃げられる、という自信と確信。
でも、いまや退路は断たれました。
逃げずに戦うための武器、盾と矛となるものを、人類の英知を結集して手にしなければ、われわれに明日は訪れない・・・・という思いがこの映画を裏から支えているのかな、と思いました。

アメリカ人のゾンビ好き、たしかに不思議ですね。
「アメリカ生まれ」だから好き、というのは、なるほど、ありそうなお話です^^
反面、彼らの心の深層には、ゾンビという存在に対する本物の「恐怖」もありそう。
そこを突かれると「正気」さえも失ってしまうようなものを抱えているのだとすると、それもまたけっこう怖い話だなあと思います。

No title

こんにちは。

もう、ビックリです。
昨日、職場でこの映画の話を聞いたばかりだったので…

職場の同僚(男)が夏休みに、高校生の娘さんと観に行ったそうで、とっても感動した!と言ってました。
この同僚、離婚して子どもは奥さんが引き取ったので、たまにこうしてお出かけするようです。
GIROさんが「ファミリーやカップルにお勧めしたいとは思わないけど」と言われてたので、ちょっと驚き。
娘さんが観たいと言われてたので良しとしますか。

私はゾンビだめです。
スプラッタホラーもだめです。
どうしてアメリカの映画って、あんなに気持ち悪いもの作るのでしょう?

ゾンビのイケメン化?
イケメンになった時点でもうそれはゾンビではないのでは?
ゾンビ=醜い イメージなので、イケメンならまるでドラキュラではないですか。
『インタビュー ウィズ バンパイア』でしたっけ?トム・クルーズがバンパイアになった映画は。
あれはカッコよかったです。

そう言えばこの映画、ぶらぴの息子さんがゾンビ好きで、初めは子ども向きの映画を作るつもりだったらしいですよ。
子どもの好きなモノを映画にするって、さすがハリウッドですね~

Re: No title

こんにちは、蜩さん!

この映画、巷ではあれこれと話題になってるんですね-。
……って、ぼくもまた話題にしているひとりなんだけど(^^;)

お勧めするのに人を選ぶ映画だとは思うけど、前半は映像迫力、後半は手に汗握るサスペンスでぐいぐいと惹きつけます。
ぼくもハラハラドキドキしながら、きっちり楽しんで観てしまいました^^
主役がなんでブラピなんだ?というのはちょっと不思議だったけど、蜩さんのコメントで納得ですe-440
家族愛がストーリーの芯になっていて、ブラピの行動にしっかりとした説得力も与えていました。

イケメン化したらゾンビではないのでは。
蜩さんのこの指摘、鋭いと思いました。
たしかに、ゾンビ的な容貌だからゾンビなのであって、イケメン化したゾンビはもはやゾンビではなくなるのかもしれないです。
そういえばトム・クルーズがイケメン・バンパイアを演じたことがありましたね。
でも一流スターはゾンビを演じるか……といえば、それはまだあまり実現しなさそう。
ゾンビとバンパイア。
ハリウッドにおける待遇格差がはっきりと見えてくる気がします。

プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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