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台風の朝に想う、あのときの少年少女たち

映画の中で出会った少年や少女が今どうしているか。
ふと気になることがあります。
スクリーンの中だけの架空の存在である筈なのに、彼らの「いま現在」が気になる、というのは不思議といえば不思議な話ですね。

たとえば『泥の川』 (1981年:小栗康平監督)で、廓舟に乗ったまま河口へと消えてゆく「喜一」とその姉「銀子」。
物語の舞台は昭和31年だから、当時、それぞれ10才と13才ぐらいのこの二人、いまも健在だとすれば、60代後半になっています。
廓舟を降り、高度成長の波に乗って土地を持ち、じぶんたちの人生を築くことができていればいいんだけど。

それから『家族ゲーム』 (1983年:森田芳光監督)で、家庭教師の松田優作にビンタされながら受験勉強にいそしむ中学生。
あれから30年経ったから、いまでは40代の半ばになっています。
どんな家族を作って、どんな食卓を囲んでいるのか、毎朝の目玉焼きはどんな風に食べているのか、などと、あれこれ想像してしまいます。

そして、忘れがたいのが、1985年に公開された『台風クラブ』 (相米慎二監督)。
主人公は、長野の中学に通う中学三年の少年少女たちです。
台風の接近が、彼らの内側に潜むものを次第に沸騰させる。
隠れた不満や憤まん、そして欲望がはげしく噴出してしまいます。
世の中にはびこる欺瞞や不条理に気持ちをかき乱され、荒れ狂う自意識に押し潰されてしまう少年もいます。
彼は、三浦友和演じる、理想を忘れた担任教師に食ってかかります。

「僕はあなたを認めない!」
「どんなに偉いか知らないが、15年もたてば今の俺と同じになるんだよ、あと15年の命なんだよっ!」
「僕は絶対にあなたにはならない、絶対に!」

工藤夕貴が演じる少女は、台風に背中を押されるように家出をし、東京に向かいます。
そして、出口のないままわだかまっていた思いを、見ず知らずの自称大学生に向かって吐き出します。

「わたし、いやなんです、閉じこめられるなんて。閉じこめられたまま年を取って、"土地の女"になっちゃうなんて!」

このときから25年が過ぎました。
彼と彼女が、もしその後の人生を全うしているとしたら……
「彼」は、「認めない」と宣言した「あなた」にならずに、不惑を迎えることができたのでしょうか。
「彼女」は「土地の女」にならず、あめんぼうのように自由に、原宿界隈でも闊歩しているのでしょうか。

・・・・などということを、今朝、大型台風26号による雨と風で家から出られないあいだ、なんとはなしに、考えてしまっていました。
ぼくも「不満」や「憤まん」や「うっぷん」ならば、いまだにたくさん抱え込んでいます。
聞いてくれる人さえいれば、ハンカチ片手に問わず語りができるぐらいに。
でもこんなにすごい台風が接近しても、とくにそれが「沸騰する」ということがない。
濁流となって溢れ出す、ということがない。
どうしてなんでしょう。

きっと、とっくの昔に、自分の中で、飼い慣らしてしまっているからなのかもしれません。
「自分の中」にあるものなら、それを飼い慣らすなんて、造作もないことです。
いばるわけではないけど、なんといっても、もう「大人」ですからね。


それでは。


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プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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