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ある結婚式で

結婚式に出席してきました。
前回出席したのは五年前のこと。
披露宴の雰囲気が、イメージとずいぶん変わっていてびっくりです。
派手な演出は控え、手作り感を大事にしていて、すがすがしい印象が残りました。

考えてみると、披露宴に出席していた人たちは、それぞれが「二人」の記憶の断片を分かち持っています。
学生生活、サークル活動、職場での働きぶり・・・・
本人たちが覚えていない部分の「記憶」は、親がしっかりと脳裏に刻みつけています。
披露宴が見せてくれるのは、その全部が織り込まれたタペストリー。

もちろん、完成形ではありません。
これから未来にわたって、長い時間をかけて、たくさんの人たちに助けられ支えられて織り続けるタペストリーです。
絢爛豪華なものなんかではなくてもいい。
その上で寝転ぶとついまどろんでしまいたくなる、居心地のよいものを作りあげていってほしいものだと思います。

「若い二人を祝福しよう」という熱気にわきかえる披露宴の中にいて、ふと一本の映画を思い出しました。
『名もなく貧しく美しく』という、かなり古い映画(昭和36年)です。

聴覚障害者の男女が知り合い、結ばれ、そして出産、子育て。
さまざまな苦労に流され、押し潰されそうになりながら肩を寄せ合うようにして生きていく夫婦の物語。

心に残る場面がいくつもありました。
手話でなされる二人の会話には、字幕が入ります。
二人の両手が踊るように動きつづける様子をとらえ、やさしくズームするカメラ。
妻を演じる高峰秀子さんの指の美しさが目に焼き付きます。

あるとき、妻は、のっぴきならない事情のために死を決意します。
家を飛び出した妻を追いかける夫。
やっとのこと、彼は満員電車の隣り合った車輌にいる妻を見つけます。
でも、お互いの間には、車輌の窓硝子が立ちふさがります。
肉声は届きません。

声は届かなくても、二人には手話があります。
身動きも不自由な車輌の中、二人は指で、声にはならない心の声を伝え合います。

「私たちはもうおしまいです」と涙ぐむ妻。
「私たちははじめから苦しむために生まれてきたような気がします」

このとき、夫の必死の思いが"手"に宿ります。

「あなたの苦しみはそのまま僕の苦しみです」

そしてたたみかけます。

「私たちのような者は一人では生きてゆけません。」
「お互いに助け合って、普通の人に負けないように生きてゆきましょう、そう約束したのを忘れたのですか」


わかり合い助け合い、そして心を通わせ合う。
そのためにはなにが必要なのか、なにが大切なのかを教えてくれるシーンです。

この映画のタイトルにある「貧しく」という3文字は、今の状況とすこしずれて感じられるかもしれませんね。
「名もなく」というのは、無名性に生きる、ということだと思います。
言い換えれば、「平凡な人生を生きる」ということ。
でも、勇気を持って自分で選び取る「平凡な人生」は、それが「名もない」ものであるからこそ、尊いものなのではないだろうか。
披露宴の新郎新婦を見ていて、そんなことを思ってみたりしたのでした。

「美しく」生きる、というのも大切ですよね。
今の時代に即して言えば、「貧しく美しく」ではなく、「正しく美しく」。

「正しい」とはどういうことなんでしょうか。
今年1月に亡くなってしまった詩人・吉野弘さんに、「祝婚歌」という詩があります。
「二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい 立派すぎないほうがいい」で始まるこの詩には、次のような一節があります。

  正しいことを言うときは
  少しひかえめにするほうがいい
  正しいことを言うときは
  相手を傷つけやすいものだと
  気付いているほうがいい


「正しい」ことは、「正しいから正しい」。
そうとは言えないときもあります。
また、「正しい」ということと「美しい」ということは、必ずしも両立するとは限りません。
二兎を追えないという状況があるかもしれない。
外部に潜む邪悪な力は、その二つを引き裂こうと、いつだって手ぐすねをひいて待ち構えています。

でも、どんなときでも、ひとりでは難しい局面でも、二人が力を合わせれば大丈夫。
二人では難しければ、みんなが力を貸してくれます。
披露宴に列席した人たちは、みんな喜んで力を貸してくれると思います。
力を借りることにためらう必要はありません。
だって、今度はほかの誰かに力を貸してあげればいいだけなんだから。

ゆっくり時間をかけて、すばらしいタペストリーを織り上げてください。
その完成形を見てあげることができないのは残念だけど。


それでは。

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No title

娘さん、ご結婚おめでとうございます。
父親は涙したのでしょうか?

どうぞ、わがカフェで癒しのハーブティーでも
飲んで、寂しさをいっとき忘れてくださいませ。
と、しっかり宣伝でした、失礼いたしましたm(__)m

Re: No title

ここしばらく、一身上のことでばたばたしてしまっていました。
新規開店、おめでとうございます!
ご自慢のカレーライス、今度ぜひ一度振る舞ってください♪

No title

おめでとうございます。
とても素敵な結婚式だったようですね。
よかった&よかった(*^_^*)

機会があったら、じっくりと
お話聞かせてくださいね。

Re: No title

こんにちは、nagaさん。
コメント、ありがとう。
結婚式って、ほんとにずいぶん様変わりしているんですねー。
ぼくのときは「新郎挨拶」なんてしませんでした。
いろいろ変わっているけれど、絶対に変わらないものもあります。
「そして人生は続く」なんていうタイトルの映画があったことも思い出してしまいました。

No title

こんにちは。

えっ、お嬢さんの結婚式だったのですか!?
それはおめでとうございます。(*^_^*)

吉野弘さんの詩が気になって、本を取りよせて全文を読んだのですが、良い詩ですね。
心がほっこり暖かくなります。
ちょうど、今度の日曜日に職場の者同士の結婚式があるので、出席する管理職にスピーチで是非この詩を朗読して欲しいとたのんできました。

娘がブライダルフォトの仕事をしているので聞くと、最近の結婚式はあまり派手ではなく手作り感のあるものが多いと言っています。
ついでに、余興で多いのがAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」だそうです。

Re: No title

こんにちは、蜩さん。
コメント、ありがとうございます!
節目というのは「ほろ苦い」ものだということ、実感しています^^;

吉野弘さんの詩は、わかりやすく読みやすいですよね。
式で朗読されたら、聞く人それぞれの心に、ひとつひとつの言葉が届けられると思います。

式場のスタッフって、みんなきびきびとして感じのいい人たちばかりでした。
ブライダルフォトも一生の記念として残るものだし、やりがいのあるお仕事ですよね。
余興の定番も様変わりしているんでしょうか。
いまどき「てんとう虫のサンバ」なんて、誰も歌わないのかな(^_^;)
プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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