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すべてが雨のせいなのか

一年の計は元旦にあるそうです。
今年の「計」は、日記をつけることに決めました。
1ページが1日分になっていて、日記帳を兼ねることもできそうなA5サイズのちょっと豪華な手帳も購入しました。
あとは、せっせと初志を貫くだけです。

ただ、正月三が日は、ほとんどものを考えることもなく過ごしたので、ページも空白です。
きょうもこのままだと書くこともなく終わりそう。
日記のページを埋めるために行動する一年になるのでしょうか。

まあ、そんなに堅苦しく考えなければいいのかなと思います。
永井荷風や正岡子規みたいに、毎日食べたものを記録すれば、いずれ文学的価値が生ずる日が訪れるかもしれません。なにより、きちんとした行動記録が残っていれば、とつぜんアリバイを求められたとしても、余裕で応対できそうだし。

そもそも、なんで日記を兼ねた手帳など購入したのか。
年末に、『246』(新潮文庫)という本を読んだせいかもしれません。


沢木耕太郎が『深夜特急』を書き終えたころに綴った、約9ヶ月にわたる日記、あるいは日記風エッセーです。
読んだ人間の行動にすぐ影響を与えるのは、この著者の大きな持ち味です。ぼくはすぐに影響されました。『深夜特急』を読んだときに会社を辞めなかったのは、まだ会社に勤めていなかったからだと思います。

著者は、一流企業に就職が決まり、いざ初出勤のその日、「丸の内のオフィス街に向かって,東京駅から中央郵便局に向かう信号を、傘をさし黙々と歩むサラリーマンの流れに身を任せて渡っている」ときに、とつぜん、会社に入らないことを決意します。いったいどうしてなのか。

「理由を訊ねられると、雨のせいだ、といつも答えていた。」(『深夜特急2』)

人生における決定的な決断が「雨のせい」というのは、なんともかっこいいなあと、あこがれたことを思い出します。
ずいぶんあとになってぼく自身、勤めていた会社を辞めることになるけど、クールに「雨のせい」と語ることはできませんでした。「雨が降ってずぶぬれになったせい」とは言えるかもしれません。

ところで、今回、この『246』を読むと、彼が会社に入ることを直前で拒んだ「本当の理由」が明かされています。
なるほどそういうことだったのか、と、とても興味深いものがありました。
ただ、同時に思うのは・・・・
「人生における決断」って、はたして、ただひとつの「理由」に帰することができるのだろうか、ということ。

ぼく自身について言えば、その種の決断には、たいてい3つの理由があったような気がします。
主たる理由、従たる理由、隠れた理由の3つ。
その3つ揃って、はじめて前へと背中を押される・・・

「雨のせい」というのは、沢木耕太郎が入社を捨てた「主たる理由」ではなかったとしても、「従たる理由」ではあったのではないだろうか。そしてまだ明かされない、当の本人にも意識されることのない「隠れた理由」さえもひょっとしたら・・・などと、想像が勝手に膨らむのでした。

ぼくが「日記帳を兼ねた豪華な手帳」をわざわざ購入した「主たる理由」は『246』を直前に読んだこと。
じつは「従たる理由」があります。
5000円分の商品券を、そのときポケットに持っていたこと。
普段買わないものを買いたい気分だったわけです。
即物的で世知辛くて、ロマンの欠片もない理由ですね。
なお、購入したとき、雨はとくに降っていませんでした。


それでは。
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プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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