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一瞬が永遠に続くこと(映画『海街diary』)

肩の凝らない映画を観るときは、「起承転結」の流れを意識してしまいます。オープニングから30分もすると「起」から「承」に移ったな、と思い、1時間が過ぎればそろそろ「転」が始まる頃だ、と思ったりします。ストーリー展開のリズムに呼吸を合わせて観ている、とも言えるけれど、一方では、決められた「型枠」にただ運ばれているだけのような物足りなさも感じます。

映画『海街diary』観ました。
ドラマとして、あるいは「起承転結」があったのかもしれません。でもほとんどその区切りが気にならない、それなのに、観終わってとても気持ちのいい映画でした。

ストーリーは、ある事情で三姉妹が四姉妹になる、要約してしまえばただそれだけのこと。
上映中、不思議とこの四姉妹に「何かが起こること」ではなく、「このまま何も起こらないこと」を願ってしまっていました。どこまでも「起承」が続き、「転結」になんて至らないことを。

とはいえ、実人生を生きる上では、なかなかそういうわけにもいきません。
ことさらな事件に遭わない一生でも、「愛別離苦」という「転」は否応なく訪れます。「生老病死」という「結」もある。
四姉妹の周辺にも、そういう人生模様を背負った人たちがちりばめられています。
長女の恋人は心を病んだ妻との離婚に悩む医者であり、次女の上司は大手銀行から信金に転職した経歴を持ち、三女の勤務先の店長は冬山登山への夢を絶たれた男です。
それぞれ「過去」に陰翳があるようなのに、そういうドラマはすべて「遠景」として配されているだけ。

「前景」として物語の中心となるのは、長女と四女の「心のゆらぎ」です。
心の中で波がゆらいで、ゆれてこぼれてあふれそうにもなります。
でも砂浜に人が残す足跡は、それがどんなにもつれたものであっても、やがて打ち寄せる波が消してしまう。そのとき海の向こうに見えるのは、見渡す限りどこまでも穏やかな水平線だけです。

姉妹が庭で手花火に興ずるシーンがあります。
日常を切り取る、なんでもない場面です。
なのに観ていて胸が熱くなってしまう。
なぜなんでしょうね。
ひょっとしたら、「起」であり同時に「結」であるこの一瞬が永遠に続くことを祈ってしまうせいかもしれません。
ちょうど「メビウスの輪」の繋がりに終わりが訪れないのと同じように。

それでは。


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紹介

日本語の起源・言霊百神

No title

こんにちは。

『海街diary』ご覧になったのですね。
私はJIROさんがこれを観て、どうんな感想を書かれるのかすっごく楽しみにしてました。
思った通り、素敵な記事になっていたので嬉しかったです。(*´ω`*)

何気ない日常こそがかけがえのないものだということを、実感した映画でした。

こんにちは

こんにちは、蜩さん。
少しお久しぶりですね^^

この映画、事前の情報はほとんど持たないで観に行きました。
観終わって、しばらくは言葉が出ないほどじーんとしてしまいました。
蜩さんのいうとおり、まさに「何気ない日常」へのいとおしさに溢れていましたね。
ここ数年、是枝監督の映画に期待を裏切られたことがありません。
これからまだまだずっと、是枝作品を公開と同時に映画館で観ることができる、
そう思うとなんだかとてもうれしいです(^_^)。
プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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