かささぎの架ける橋
早朝、家を出ると、聞き慣れない鳥の啼き声に上を見上げました。
電柱のあたりを、五,六羽の鳥が飛び交わしています。
どこかから渡ってきてひと息ついているところなのでしょうか。
朝空を背景に見えるシルエットでは、尾がすこし長い鳥たちでした。
かささぎ、かもしれない。
根拠は何もないけど、ふとそんな気がしました。
今の時期、この地域ということでいえば、生態分布的にありえないのかもしれません。
でも、そうだったらいいなと思いました。
かささぎは、その名前とはうらはらに、スズメ目カラス科の鳥です。「サギ科」ではありません。
「まるで詐欺のような話だ」というネタは、居酒屋雑談用にストックしておきましょう。
使いどころにはかなり悩みそうですけど。
ところで、百人一首に、こんな歌があります。
かささぎの わたせる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける
この歌は、七夕伝説が下敷きになっています。
七夕の夜には、織女と牽牛の逢瀬を叶えるため、かささぎが翼を交わしあって天の川に橋をかける。
男女の機微を解する風情もあり、鳥にしてはなかなか乙な計らいのできるかささぎなのです。
でも、かささぎはカラス科なのに、なんで「白きを見れば」なのか。
『田辺聖子の小倉百人一首(上)』(角川文庫)を読むと、〈カササギというのはどんな鳥です?〉という問いに、〈カラス科の鳥で、ただしおなかのところは純白だそうです〉と答え、こんなふうに愉快に結論づけます。
〈鳥が羽を拡げて橋を渡すと、地上から見上げる人間の目には、モロ、白い部分が見えますね。下から見上げれば白い橋ですな〉
なるほど、そういうことか。
黒い影のシルエットとはならず、星のひかりを映して、白く輝いて見えたのかもしれないですね。
ただ、いっぽう、この「かささぎ」は、ことによると「しらさぎ」だったのでは、という気もします。
どこから見ても白一色のしらさぎだったら、星のひかりに頼らなくても、白く神々しく輝いたに違いないです。
これは、先日、目黒の自然教育園で間近に見かけたシラサギです。
水面に映り込むじぶんの姿に、その優雅さに、時を忘れて見惚れているシラサギ・・・・というのは少し事実と違います。
水中の小魚を狙い澄まし、目にもとまらない速さで捕獲している最中でした。
池を彩る満開の桜にも関心はなさそう。
とりあえず生きていくことが優先だから、「風情」は二の次、というのも仕方がないですね。
それでは。
電柱のあたりを、五,六羽の鳥が飛び交わしています。
どこかから渡ってきてひと息ついているところなのでしょうか。
朝空を背景に見えるシルエットでは、尾がすこし長い鳥たちでした。
かささぎ、かもしれない。
根拠は何もないけど、ふとそんな気がしました。
今の時期、この地域ということでいえば、生態分布的にありえないのかもしれません。
でも、そうだったらいいなと思いました。
かささぎは、その名前とはうらはらに、スズメ目カラス科の鳥です。「サギ科」ではありません。
「まるで詐欺のような話だ」というネタは、居酒屋雑談用にストックしておきましょう。
使いどころにはかなり悩みそうですけど。
ところで、百人一首に、こんな歌があります。
かささぎの わたせる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける
この歌は、七夕伝説が下敷きになっています。
七夕の夜には、織女と牽牛の逢瀬を叶えるため、かささぎが翼を交わしあって天の川に橋をかける。
男女の機微を解する風情もあり、鳥にしてはなかなか乙な計らいのできるかささぎなのです。
でも、かささぎはカラス科なのに、なんで「白きを見れば」なのか。
『田辺聖子の小倉百人一首(上)』(角川文庫)を読むと、〈カササギというのはどんな鳥です?〉という問いに、〈カラス科の鳥で、ただしおなかのところは純白だそうです〉と答え、こんなふうに愉快に結論づけます。
〈鳥が羽を拡げて橋を渡すと、地上から見上げる人間の目には、モロ、白い部分が見えますね。下から見上げれば白い橋ですな〉
なるほど、そういうことか。
黒い影のシルエットとはならず、星のひかりを映して、白く輝いて見えたのかもしれないですね。
ただ、いっぽう、この「かささぎ」は、ことによると「しらさぎ」だったのでは、という気もします。
どこから見ても白一色のしらさぎだったら、星のひかりに頼らなくても、白く神々しく輝いたに違いないです。
これは、先日、目黒の自然教育園で間近に見かけたシラサギです。
水面に映り込むじぶんの姿に、その優雅さに、時を忘れて見惚れているシラサギ・・・・というのは少し事実と違います。
水中の小魚を狙い澄まし、目にもとまらない速さで捕獲している最中でした。
池を彩る満開の桜にも関心はなさそう。
とりあえず生きていくことが優先だから、「風情」は二の次、というのも仕方がないですね。
それでは。
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