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ハードボイルドな女絵師(『眩(くらら)』:朝井まかて)

墨田区が発行する印鑑証明書をみると、その裏側には、かの有名な『神奈川沖浪裏』がデザインされています。

神奈川沖浪裏

地元墨田区に生まれた天才浮世絵師、葛飾北斎。
もしまだ存命だったら、間違いなく「国民栄誉賞」に輝いていたと思います。
その北斎を、「郷土の偉大な芸術家として顕彰」するために開設されることとなった「すみだ北斎美術館」が、いよいよ今年11月にオープンされます。待ち遠しいです。

ところで、北斎には、お栄(号は「応為」)という娘がいました。
晩年の北斎に、「美人画では応為にかなわない」と言わせたほどの絵師だったそうです。
そのお栄が主人公となる小説(『眩(くらら)』:朝井まかて)を読みました。



気むずかしい北斎を支え、身内の不始末に苦労を重ねるお栄。
実りのない恋模様なども絡めながら、西洋画の明暗法に傾倒し、特徴ある細密描写を生み出すさまが描かれます。

後半、「三曲合奏図」という肉筆画誕生の場面が興味深く書かれています。

三曲合奏図

琴、三味線、胡弓、この三つの楽器を奏する三人の女を、画面の中でどのように配置するのがよいか。
最適な構図を求めて工夫を凝らし、苦心を重ねます。
この箇所を、画集やネットなどで実際にこの絵を見ながら読むと、面白さが倍増するのでは。

ルノワールのこのデッサンと、構図が似ている気がしますね。
すこし不思議です。

ルノワール

生没年も不詳というお栄の生涯には、輪郭線がないようにも見えます。
この時代、表舞台に立つことが難しかった多くの女性と同じように。
だけど、輪郭なんて関係なく、くっきりした明暗の中に彼女はその生きたその証を残しました。
北斎の死後、忽然と行方をくらましたというお栄。
大人しく額縁の中に納まることを拒み、ひとり浮世の荒波の中に漕ぎだしていくかのようです。
物語のラストに浮かび上がってきたのは、意外にもハードボイルドな、颯爽とした女絵師の姿だったのでした。

それでは。

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Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
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・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
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(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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