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10枚に1枚当たる、宝くじ

ふと思い立って、宝くじを購入。サマージャンボです。
この当選賞金って、最高7億円なんですね。
「もしも当選したら」を夢想するのは、購入者に与えられたほとんど唯一の特権です。
ということで瞑目し、夢想モードに突入。
とりあえず、靴をひとつ新調します。かかとがかなり傷んでいるので、そろそろ替え時です。
それでも残りが・・・まだ6億9千999万円。
さて、あとはどうしたものか。途方に暮れてしまいます。
7億円という金額には、「使い途を考える」という楽しみを逆に奪われてしまうような威力があります。

こんなことを考えるのは、 『身の上話』(佐藤正午:光文社文庫)という本を読んだ影響かもしれません。



この本、内容をかいつまむと、ヒロインは、とある地方の書店で働く女性。ひょんなことから宝くじを買い、2億円の高額当選したことを知ります。さまざまな事情がからまって、その賞金を持ったまま逃避行をすることに・・・というようなお話。読み始めると止めようがない、たくみなストーリーテリングが光ります。

いくら大金でも使い続ければいつかは無くなるのが道理。でも、この物語では、ヒロインがどんなにぜいたくにお金をつかっても、いっこうに目減りしてゆく実感が伴わない、そんな様子が妙に生々しく描かれていて心に残ります。浪費によって満たされるのではなく、内側からわじわとむしばまれていくようなむなしさ。湯水のように使えるようになったものからは、湯水の持つ価値さえも消えてしまうのでしょうか。

うっかり不老長寿になる薬を飲んでしまった人間がいたら、同じような気持ちを抱くかもしれません。もし1000年の長寿を約束されたら・・・はじめのうちはたしかにうれしいでしょうね。でも、知っている人たちはみんな先に死んでしまいます。録画済みのDVDもそのうちに見尽くしてしまいます。そのあとに待ち受ける、長い孤独な老後。見えないゴールが果てしなく遠すぎて、粛然としてしまいます。

この本を読んではじめて知ったことがあります。
取扱い銀行から、宝くじ高額当選者に配布される小冊子があるのだとのこと。

この小冊子、「受け取った当せん金は、とりあえず安全な場所へ」とか、「後悔するような軽はずみな言動に注意する」、「当せん直後は、興奮状態にあるという自覚を」など、なかなか実践的なアドバイスが書かれているようです。「自分の性格やクセを見つめなおそう」、「当せんで、自分そのものが変わることはない」、など、自己啓発本的な項目も用意されているみたい。「当せんは、幸せになるための手段の一つ」という箴言もある。
高額当選は「幸せ」そのものではない、と、「浮かれる心」に釘を刺しているわけですね。

「幸福」とは何か、というようなややこしいことはさておいて、やはりせっかく買った宝くじ、とりあえずは当選してくれなくてはつまらない。むなしくなるのも粛然とするのも、幸福となるのも不幸となるのも、まずは当選してからの話です。

是枝裕和監督の 『海よりもまだ深く』という映画の主人公は、ギャンブル好き。離婚した妻と暮らす息子に、宝くじを買ってあげます。父親らしいことのひとつもしてやりたかったんでしょうね。でも元妻から「宝くじなんてギャンブルだ」と叱られて、「ばかを言うな、お前は全国60万人の宝くじファンを敵に回したぞ!」などとやりあうシーンがありました。



ラストシーンでは、嵐の中でこの宝くじが散乱してしまい、息子・元妻と闇の中を一緒に探し回ります。「1枚は当たるんだぞ」と懸命になる主人公(父親)。たしかに、10枚のうち、1枚は当たります。なけなしのフトコロから、せっかく息子に買ってあげた宝くじ。親として、懸命になるのもわかります。ささやかな夢であっても追いかけ続けることこそが大事なのだから。でも、たとえ人生を賭けて追い求めていた夢であっても、あきらめることを受け入れなければいけないときが来る。夢を追うこととあきらめること。ふたつの相反する思いが、雨に濡れそぼった宝くじに託され、見事に凝縮された場面でした。

それにしても、10枚に1枚は当たる。こういう発想、いいですよね。夢を追ったりあきらめたり、そのバランスの中でたしかに手元に残る1枚。その1枚を「お守り」のように大事に思うことができれば、「幸福」かどうかはさておくとして、そんなにおおげさな「不幸」も寄せ付けないような気がします。

それでは。
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プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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