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わが「ワンス・アポン・ア・タイム」

6才頃のこと、家から遠く離れたところに、広々としたグラウンドや空き地がありました。そのずっと向こうには、なにやら工場のようなものが立っています。友だち同士で遠征して、駆け回ったりボール投げをしたりする、絶好の遊び場でした。ただ、風向き具合によって、どこからか妙な臭いが漂ってきます。そのうちに年上の少年から「工場からサイレンが聞こえたら全速力で逃げろ」と言われるようになりました。さすがに不気味になって、いつしか足も遠のき、それ以来、寄りつかなくなった、という記憶があります。

そして後年、「六価クロム」という有害物質による土壌汚染の事実を知ることになります。まさに「板子一枚下は地獄」という環境と隣り合わせだったわけです。間一髪、きわどいところだったんですね。

石牟礼道子さんが亡くなったというニュースに接し、そんな、幼い頃のあれこれがしきりに思い出されてきました。水俣病を告発し、水俣病患者の心の声を文字に刻み続けた石牟礼さん。 『苦海浄土 わが水俣病』には、日常に遠慮会釈なく「何か」が入り込み、平穏な日々をその「何か」に奪い取られて苦しむ人たちの姿があります。その「何か」とは、何か。特定された原因物質は「メチル水銀化合物」でした。でも、そんなものがなぜそこに存在し、なぜ水俣の海に、流されたのか。石牟礼さんは、患者に寄り添う、というよりは、むしろ依り代となってその「怒り」や「悲しみ」を語ります。その中から「人間の尊厳」という言葉が静かに、でも断固として、立ちあがってきます。



近代化にはいつだって「矛盾」や「歪み」がつきもの。・・・などと斜に構えて一生を過ごせたら、それはそれでけっこうなことです。
でも、「尊厳」をおびやかす「苦海」は、いつも普段の生活と踵(きびす)を接している、そのことだけは忘れないほうがよさそう。
幼い頃のあの「遊び場」の記憶も、けっしてセピア色というわけではありません。

それでは。


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プロフィール

JIRO

Author:JIRO
東京下町で開業する司法書士です。
司法書士とはなにをする人か?
・・・一言では説明が難しいです。
といって二言三言あれば説明できるわけではなし。

このブログでは、日頃の出来事や読んだ本、観た映画などのことを書きつらねてみたいと思います。
あ、お仕事のこともすこし触れていきます。

(ホームページ http://www.noguchi-office.jp/)

相続なら江東区の司法書士 みどりの杜司法書士事務所(会社設立)

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